日本縦断のきっかけは「今しかない」という想い スタート時は不安が8割も
ーー日本縦断しようと思ったきっかけは何だったんでしょう?
バイクの日本一周って、みなさんだいたい100日くらいかけて一気にされるんですけど、私は旅行好きっていうのもあって、とりあえず日本全国1県ずつ行って、その場所の文化に触れるとか、観光したいっていうのがもともとで。
正直言って、バイク関係なくてもよかったのかもしれないですけど(笑)。ライダーだったらわかると思うんですけど、バイクで見る景色と車に乗って見る景色と全然違うんですよ。だったら生身一つで、全身で風浴びながら日本の絶景を見るっていうのもすごい楽しいだろうなって思って、バイクで行くことにしたんですけど。
ーー仕事ってどうしたんですか?
そのときは仕事も辞めて(笑)。コロナが拡大してしまうと難しかったんで、タイミングがすごいよかったんです。1カ月前とかに「辞めます」って仕事辞めて。もう「今しかない」と思ったんですよ、体力的にも。 この先結婚もしたいし、子供も欲しくて。家庭ができるとなおさら難しいなっていうのはちょっと思っていて。思い立ったときにやらないと、時間もないし後悔するやろなって。かなり衝動的でしたね(笑)。1カ月半とかのなかで「はい、決めた」「はい、辞めた」「はい、行きます」って。親も「急すぎるやろ、お前」っていうくらい衝動的でしたね(笑)。
ーー行動力がズバ抜けてますよね!移動中、宿泊場所はどうしてたんですか?
バイクに乗って、もっと培われた感じはありますね。1人でまずは滋賀とか関西近郊とか走ってたんですけど、そういうことしてると「案外行けるんじゃない?」と思って。
キャンプする人多いですけど、鍵ないじゃないですか、テントって。いくら平和な日本とはいえ、変な人もかなりいるとは思っているので、キャンプは防犯的な面でもやめとこうと思って。だから旅費のなかでもホテル代は結構多かったんですけど。貯めたお金からちょっとずつ使ってっていう感じでした。
ーー宿に泊まった方が安心だし、疲れもちゃんととれますよね。
キャンプはちゃんと寝られないっていいますよね。事故にも繋がるので。しかも私、キャンプしたことなかったので、初めての日本一周で毎日テント泊まりっていうのは、慣れてない人がやるっていうのはよくないなって思って。
ーー食事の準備とかいろいろ考えることが多くて、精神的にも疲れそうですね。
そうなんですよ。自分で全部やらなきゃいけないわけですし。私は人に薦めるときは、宿とかホテルをオススメしてます。楽しむためには、絶対にそのほうがいいよって。全国の温泉入れるのも魅力ですよね。
ーー日本縦断の旅は行ってよかったですか?
西と東と行ったんですけど、「やり切った私!」って、一時期バイク欲もなくなったんですけど。やっぱりよい季節になると「走りたい」ってなりますね(笑)。決断したときに、まさか自分でもやるとは思っていなかったんですけど、そういう時じゃないと行けないので、行ってよかったです。
「不安ありましたか?」ってよく聞かれるんですけど、出発するときは不安が8割ぐらいだったんです。「この先私行けるかな」って。「コケたりしたらどうしよう」とか、「盗難にあったらどうしよう」とか思ってたんですけど、行けば何とかなるもんやなって思いました。でも、日本やからできたっていうのもちょっとありますね。
ーー日本縦断中にいろんな経験をしたと思うんですが、人の優しさを感じた出来事ってありましたか?
当時、登録者数が5万人くらいいたんですけど、まったく告知せずに行って。自分ひとりで楽しみたいと思って。だから、基本的に出会いはなかったんですよ(笑)。
鹿児島から熊本に向かっているときに雨が降ってきて、道の駅に避難したら道の駅も定休日で(笑)。散歩してた地元のおじいちゃんが話しかけてくれて、10分、15分おしゃべりできたのはすごい癒しでしたね。雨でちょっと嫌だったけど、ひとりでずっと旅して来たなかで、地元のおすすめの場所を教えてもらったりして、ひとつ救われたとこはあって。人との繋がりっていう意味では、今でもすごい覚えてます。
ーー印象深かった出来事って何ですか?
印象深いという意味では、日本全国絶景は多くって。海好きなんで、基本的に海沿いをずっと走ってたんですけど。景色ってずっとそこにあるじゃないですか、いつの時代でも。けど、その場所、その時間にたまたまそこにいた人の話っていうのは、ほんと何千、何万分のイチとか確率的に少ないので、その場所でしかできない体験というのは印象深く残ってますね。
経験したからこそ伝えたい、「譲る」ことと「安全運転」の大切さ
ーーあおり運転が社会問題になっていますが、バイクを運転していて危険な目にあった経験はありますか?
初めはかなりありましたね。あおりもそうですけど、ベタ付けされて、クラクションめっちゃ鳴らされて。路肩もまったくない橋の上とかだったんで、譲るにゆずれなくて。結局、相手は追い越し禁止のイエローラインを飛び越して行ったんですけど。そのときは一緒に走ってた女の子も接触されそうになったり、動画のなかでかなりブチ切れてましたね。
ーー運転しているときに気を付けていることがあれば教えてください!
自分の快適速度よりも早い車両が来たら、すぐに譲るようにしています。私の快適速度は50kmっていう、ゆっくりめの速度なんですけど、今のバイクがゆっくり走っても楽しいバイクなので、ひとりで走るときは基本50kmで走ってます。法定速度もそうですし、高速とかで後ろから車がきたら私はウィンカー出して、「譲る意思がありますよ」っていうのを見せて、速攻譲るようにしてます。
変なヤツがいても、意地張るのがよくないっていうのを最近思ったんです。私すっごい負けず嫌いで、当時もそうなんですけど、いま動画を見ても「めっちゃ意地張ってるわ、コイツ」って自分でも思うんで。公道では意地を張るだけで命にかかわることが多いので、無理せず快適速度で、自分よりも速い車がきたら譲るっていうのは、大原則にしてます。道路状況が違うので一概には言えないですけど、無理しないっていうのは本当に1番ですね。
ーーバイク初心者が安全面で気を付けることってありますか?
今はSNSも普及して、SNSで出会った人と走るっていうのもあって。私も最初そうだったんですよ。ただ、見つけた後にその人たちを見極めることが重要なんだよ、っていうことをすごく伝えたいなって思っていて。実際SNSで出会った団体と走って、ついていけなくて、未成年の女の子が亡くなった事件もあったんですよ。もちろん、初心者の子に気を遣わなかった団体も悪いですけど、自分の身は最終的には自分でしか守れないよっていう確固たる意思を自分で持っておかないと、バイクは特に。最終的にブレーキかけられるのは、自分だけなので。いま乗り始めた子とかには、すごく言いたいというか。
私はそれを父から学んだんですけど、SNSで出会ったとか、周りにバイク仲間がいない状態でバイク乗り始めましたっていう人は、誰からそういうことを学んだらよいかわからないっていう人が多いんですよ。バイクは楽しいだけではなく、そういう危険性もあるんだよっていうことにもっと目を向けてほしいなと。自分の動画ではこれからも安全に関するアピールをしていきたいなと思ってるんです。
ーーバイクは生身だから、ほんとに危ないですもんね。
私も1回田んぼに突っ込んだんですけど(笑)。あのときは自分の不注意だったんですけど、田んぼでよかったです。同い歳のバイク仲間で、自動車道で転倒してちょっと後遺症残っちゃった、みたいな子もいたので。私の場合は、事故起こしたからこそ再確認できったっていうのがありましたね。転倒して、「じゃあこれからしないでおこう」っていうのをより深く意識するようになったので。より安全運転しようと思うようになりましたね。皆さんには経験してほしくないですけど。
ーーYouTubeチャンネルのきれいなサムネイルが目を引きますが、バイクを上手く撮るコツってありますか?
インスピレーションで撮ってますね。使ってるカメラも初心者モデルで、バイク仲間から買い取ったやつで(笑)。私は横から撮るのが好きなんですが、同じ角度が好きな人からは反応がよいですね。基本的には風景と一緒に撮っていて、後ろにはキレイな海とか桜とか情報を入れるタイプです。ライダーさんにも種類があって、ツーリングがメインの方とか、自分のバイクの写真を撮るのがメインの方や、サーキットにしか行かない方とかに分かれるんですけど、私の視聴者の方はツーリングライダーさんが多いので、風景が入っている写真の方が「ここどこやろ」っていう興味を持ってくれるんで、風景を入れるようにしてますね。
ーーこれからバイク系YouTuberを目指す方にアドバイスをお願いします!
私がYouTubeを始めた3年前は、バイク系のYouTuberっていなかったんですよ。女性ひとりでっていう方がいなかったので、ぱっと話題になったっていうのはあるんですけど。バイクなので、交通モラルに関して炎上しちゃうことはよくないので、そういうのはやらない方がよいですね(笑)。見てもらうためには、やっぱりサムネイルじゃないですかね!サムネイルとタイトルでどれだけ人を引き付けられるかっていうのはあると思います。
終始ハキハキと受け答えをしてくれたMi-RIDERさんは、持ち前の行動力でやりたいことに全力で挑んできたという自信が感じ取れる、そんな素敵な女性だった。バイクに乗るきっかけになったお父様ともツーリングに行く仲で、きっと動画を見て、「一緒にバイクで走ってくれる、こんな娘が欲しい」と感じているお父さんファンたちもたくさんいることだろう。
Mi-RIDERさんにやりたいことを聞くと、“ライダーが求める最後の場所”北海道を隅々まで回りたいと話しており、新型コロナウイルスの収束後には、北海道をバイクで旅する動画が見られるかもしれない。ツーリングといったバイクの楽しさに触れるだけではなく、事故のような危険な経験もしてきたと話すMi-RIDERさん。安全に関する情報を発信したいという目標も語っており、今後の活躍も楽しみだ。
■Mi-RIDERさんのYouTubeはこちら:Mi- RIDER
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