NHK朝ドラ主題歌選定に”癒着”発覚――報道によって悪しき慣習を断ち切れるか
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写真/Getty Imagesより

NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)の主題歌選定をめぐり、水面下で巨額の金銭授受が行われていると報じられ、局内や関係各所に激震が走っている。

朝ドラは大河ドラマと並ぶNHKの看板ドラマ枠で、現在は、4月9日に最終回を迎える『カムカムエヴリバディ』が放送中。主題歌には、俳優として2020年前期の『エール』にも出演していた森山直太朗が提供し、AIが歌うバラード曲「アルデバラン」が起用されている。

AIも森山も、ともに大手レコード会社・ユニバーサルミュージック(以下ユニバーサル)系列のレーベルに所属しているが、2018年度後期の『まんぷく』から『カムカム』までの過去7作のうち、『スカーレット』と『おかえりモネ』をのぞく朝ドラ5作においてユニバーサルのアーティストが主題歌を担当している。「女性セブン」3月24日号(小学館)によると、主題歌におけるこの”不自然な偏り”が生まれた背景に、外部コーディネーターとして動いていたA氏の存在があるという。

A氏は30年以上前から芸能事務所の社長としてNHKに出入りしてる男性で、NHKの上層部と蜜月関係にあるとのことで、なんと、「NHK公認ドラマ音楽プロデューサー」なる肩書きが記された名刺を持ち歩いていたとか。ここ数年はこのA氏を通さなければ、朝ドラの主題歌に選ばれないというのが業界では暗黙の了解だったそうで、主題歌が決定した際は、レコード会社からA氏に対し、1000万円~1500万円もの謝礼が「プロモーション宣伝費」などの名目で支払われているという。

同誌がA氏を直撃すると、自分に主題歌の決定権があるという内容は事実ではないと否定しつつも、NHK側からの依頼を受けて仲介役として動いており、レコード会社からそれ相応の謝礼を受け取っていることを認めたとのこと。一方でNHK側は、A氏に仕事を依頼したことや「NHK公認ドラマ音楽プロデューサー」の肩書きを認めたことはないと完全否定しているが……。

「昔から、この手の”ブローカー”のような人間は何人かいたが、時代が経つにつれて徐々に淘汰されていった。しかし、まだこのような”悪しき慣習”が残っていたのは正直驚きだ。そもそも、ユニバーサルの社員でさえ『なぜうちの曲が多いのか』と疑問に思っていたほどだった」(レコード会社関係者)

NHKといえば、現在、元みずほフィナンシャルグループ社長・会長を歴任した前田晃伸氏が会長職に就き、2023年1月までが任期となっている。

「前田会長は任期切れを迎えるまでに、徹底的な大改革を断行しようと意気込んでいる。『紅白』の打ち切りにまで言及するなど、番組の改編にまで口を出して来るので、制作現場は戦々恐々だとか。そんな中でこんなスキャンダルが出てしまっただけに、局内で『いつごろから・誰がどうやって』関わっていたか徹底的な調査が行われることになりそうで、事によっては幹部の粛正もあるのでは。今回の件はおそらくNHK局内からの内部リークと思われるが、これで”悪しき慣習”を断ち切ることができそう」(NHK局員)

そもそも、NHKの制作費は視聴者から徴収した受信料で成り立っており、出演者や制作サイドへのギャラもその中から支払われる。A氏は「民間と民間のやり取りで何の問題もない」としてレコード会社からの金銭授受を認めたが、その金の出どころ次第では大問題に発展する可能性もありそうだという。

「A氏はNHKからは一銭ももらってないとしているが、NHKからレコード会社への支払いがあり、これがレコード会社からA氏への”謝礼”に充てられていたとしたら大問題。過去にも、不透明な金の流れが発覚して糾弾されたが、そんな事実などすっかり忘れ去られているかもしれない」(放送担当記者)

ちなみに、4月11日から始まる次の朝ドラ『ちむどんどん』の主題歌を担当するのは、エイベックス系列に所属の三浦大地。こちらの選定の経緯も気になるところだ。

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