ゆきしろ ガンプラストップモーション

ガンダムに登場するロボットや戦艦などをプラモデルにした「ガンプラ」が、売り切れになるほど人気を集めているのはご存知だろうか?

今回インタビューしたYouTubeチャンネル『【Stop motion】ゆきしろ』は、そんなガンプラの魅力を最大限に広めるべく、パーツを切り離しから組み立て完成までの工程や、原作の再現や踊ってみたなどガンプラを主役にしたストップモーション動画を制作。視聴者からは、そのクオリティの高さが評価されている。

今回のインタビューでは、ガンプラに魅了されたゆきしろさんに、YouTubeを始めるきっかけや動画制作について話をうかがった。

ゆきしろが大人になってガンプラにハマった理由とは?

ゆきしろさんの動画編集の様子

--プラモデルを作り始めたきっかけを教えてください。

ゆきしろ:2017年くらいに、知人からガンプラの写真をSNSで投稿している「ねぎかつセブン」さんを教えてもらったんです。外でガンプラを撮影していて、画期的な撮り方をしていたのでけっこう衝撃的で。その写真を見てから「自分もやってみたいな」と思ったのがきっかけでした。

--子どものころからプラモデル好きというわけではないんですね。

ゆきしろ:ガンダムは知っていましたが、そんなにしょっちゅうプラモデルを買っていたわけではなかったですね。SDガンダムBB戦士っていう2頭身のプラモデルくらいしか買ったことなかったんですよ(笑)。

     ねぎかつセブンさんが外で撮影している感じが僕的にはちょっと斬新な撮り方だったんで、それに惹かれて「ガンダムってこんなにカッコいいんだ」って思ったんです。砂吹雪とガンダムを融合させているのを見て、僕もプラモデルを外で撮影したいって思ったのがきっかけです。

--映画を見ているような感じですね。ゆきしろさんはどうしてYouTubeを始めようと思ったんですか?

ゆきしろ:プラモデルを作り始めたのは3~4年前で、写真も趣味で撮り続けていたんですけど、その中でガンダムって動かしていても楽しいなって思って。ガンダムの中でもRGシリーズっていうのがあるんですが、これが非常によく出来ていて、指先から足先まで細かく動くんですよ。その稼働がものすごく素晴らしくて。

     それを表現しようとすると写真だけだと足りないから、動画にした方がいいよなって思って、動画を作り始めたんです。Twitterだと2分20秒までの動画しか投稿できないので、だったら自分の作った作品を管理しやすいYouTubeに投稿しようと思ったんです。

--ゆきしろさんの動画を見て、「ガンプラってこんなにスムーズに動くんだ!」ってビックリしました。

ゆきしろ:バンダイさんの技術すごいですよね!僕の技術じゃなくて、バンダイさんの技術がすごいんです(笑)。

--昔のプラモデルって、こんなにスムーズに動かなかったですよね。

ゆきしろ:そうですよね。僕も動かしているときに気がついて、「ガンダムってこんなに屈伸滑らかにできるんだ」って思いましたね(笑)。ダンス動画も可動域の素晴らしさを僕なりに引き出した動画なんです。コマ撮り動画にしたのも、その滑らかさや可動域を見せたいっていうのがきっかけでしたね。

「いいものを作りたい」という思いで4カ月!? 細かすぎる動画制作の裏側を暴露

撮影中の一コマ

--動画制作についおうかがいしたいのですが、動画の内容ってどのように決めていますか?

ゆきしろ:実はそのほかの動画もあまり考え方は変わっていなくって。説明書を見ながら、パーツを切り離していくなかで、「こんなに細かく作っているんだ」って感動して。じゃあ、ここから動画をつくるのがこのプラモデルの素晴らしさを最大限に伝えるためにはいいのかな、って思たんです。

     RGシリーズは内装パーツと外装パーツに分かれているんですが、内装だけ見てもすごくカッコイイんです。だからそこから見せないともったいないなって。なので、企画を考えてガンプラを作っているんじゃなくて、ガンプラを作っている最中に企画が生まれている感じですね。ガンプラの説明書とか見た目の素晴らしさがあるからこそ、僕が作りたいっていうきっかけになったっていうことです。

--なるほど。ちなみに動画の制作時間は、どれくらいかかっているんですか?

ゆきしろ:今年1月に公開した『【コマ撮り】≪もう一つの物語≫RGの進化と継承のガンダム「RG 1/144 Hi-νガンダム」』は、4カ月かかっています。この4カ月の間に新しいガンプラが発売されたんですが、これだけしか触れなかったことが悩ましいところでした(笑)。

--4カ月もかかったんですね!

ゆきしろ:本当は2カ月くらいでできると思っていたんですけど、いつの間にか「いいのを作りたい」「表現したい」と思い始めて、どんどん長引いて。

--4カ月の中で1番大変な部分ってどの部分ですか?

ゆきしろ:とくにランナーからパーツが切り離されて、真ん中に集まっていくところですね。あそこは実は1枚1枚角度を変えていて、傾けたり、後ろから撮影しているところもあるので撮影にも苦労しました。

     撮影のときは100個以上あるパーツを浮いているように見せるために支えているのですが、編集では支えている物を消す作業や、角度を変えて撮ったパーツを1枚1枚切り貼りしているので、編集もこれまでの倍以上の時間がかかったんですよ(笑)。

--この作業って全部おひとりでされているんですか? ずっと集中していないといけないっていう点も大変ですね。

ゆきしろ:ひとりでやっています。ランナーからパーツを切り離す瞬間は失敗できないところだったので、パーツを切っているときは震えましたね(笑)。もう1体買うとしても、このガンプラは売れ切れていてぜんぜん売っているところがないくらい人気商品なので、替えがきかないんですよ。

--まさに一発勝負ですね。

ゆきしろ:そうですね。僕、YouTubeを始めるまでこま撮りもしたことなかったんですよ。大変さを知らなかったからやったっていうのもあるかもしれないです(笑)。今まで1カ月で作れていたので、1カ月という早さに「本当かな?」って思っています。ほかの動画も苦労していたんですけど、なんでこれだけこんなにかかってしまったのか、自分でも不思議です。

--凝りに凝ってしまったっていうことですね。ここまでいくと、今後手を抜けないですね(笑)。細かい作業が多いですが、苦になることはないんですか?

ゆきしろ:友人と旅行に行ったときに、趣味で動画を撮って編集してとかはやっていたんです。こだわって編集していたので、パソコンで細かい作業することは苦じゃなかったんですよね。

--それが今回のYouTube活動に活かされたんですね。でも、長尺の動画を作るとなるともっと時間かかりそうですね。

ゆきしろ:YouTubeは尺が長いほど広告がついて広告収入が増えるっていいますけど、動画の質が落ちるんだったら、ただ長くするという考え方はあんまり好きじゃなくって。凝縮して、自分の好きなものを詰め込んだ動画にしたいなと思ったら、いまの尺になったんです。

--本当に趣味で動画を作っている感じなんですね。動画のなかで、「ここを見てほしい」っていうポイントはありますか?

ゆきしろ:パーツが飛んでいるところとかは角度もかなり変えているので、そういったところもよく見ていただきたいですね。意外と原作を取り入れているシーンもあるので、細かく見ていただけるとより楽しんでいただけるかなと思います。Hi-vガンダムの出撃シーンも、映画の『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年、松竹)っていう作品のものと同じカットで撮っているんですよ。

--動画つくるために、ガンダムのアニメや映画を見たりしているんですか?

ゆきしろ:昔アニメを見たりしていたので、そのなかで自分が印象的だったシーンを再現したりしていますね。意外と気づかれないんですけど、知っている方には楽しんでもらえるかなと思います。

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