貧乏系YouTuberのPさんが10月13日、ある大学の1、2年生を対象とした「ベンチャービジネス入門」の授業にゲスト講師として登場。
「貧乏系YouTuber・Pさんの、大学で授業をやってみた」という一言で始まったオンライン授業では、“好きなことで生きていく”をテーマに、PさんのYouTuberとしての経験や大切にしている軸を絡めながら、学生たちにアドバイスを送った。
個人での活動でも「ひとりじゃない」
かつて水溜りボンドの一員であったPさんは、2019年の独立後、水溜りボンドとの対立を避けるためゲーム実況者として活動を開始。
初投稿の動画が急上昇1位を獲得、チャンネル登録者数は3~4日で10万人に到達するなど、幸先の良いスタートを切った。
華々しいスタートだったが、ここでPさんは数字の伸び悩みを経験。参入のしやすさも相まって、YouTubeであまたいるゲーム実況者のなかで埋もれてしまい、次第にチャンネル登録者数も減少していったという。
これには、「水溜りボンドとは違う世界をファンに見せたい」と思うPさんに対し、水溜りボンド時代から応援してくれているファンがゲームジャンルの動画を求めていなかったという、需要と供給のミスマッチがあったそうだ。
半年間ゲームジャンルで活動し、思うような結果が出せなかったPさんは、失敗するのが怖くなってしまい、動画が出せなくなってしまうほど落ち込んでしまったと話す。
チャンネルを立て直すべく楽しい企画を考えるも、人気YouTuberたちと比較されてしまうという怖さや自分にできることは何かという答えがわからない、そのような時期が1カ月続いたそうだ。
そこでPさんのとった行動が、「貧乏系YouTuberへの転身」だ。
当時おるたなChannel・ないとーが出資、オーナーを務めるYouTuber限定のシェアハウス・レイワ荘で生活していたPさんは、ないとーや切磋琢磨する仲間に相談を持ち掛けた。
そこで彼らは、Pさんの貧乏だけど明るいという“陰と陽”のギャップや収益を公開する動画が好評であったことから、お金がないことをネタにする「貧乏系」という新たなジャンルの動画をPさんに勧めたそうだ。
そんな経緯でYouTuber人生をかけて「貧乏系」で再出発することになったPさんは、1円で車を購入する動画『【激安】貧乏YouTuberが「1円」の中古車を買ってみたらまさかの結果に…!』が当たり、チャンネル登録者数が増加、自信が付き始めたという。
それまで水溜りボンドという人気グループから独立したにも関わらず、成功していないことを「恥ずかしい」と思い、成功するとわかっていながらも「僕なんかがやっていいのか」と、先輩・水溜りボンドとのコラボにブレーキがかかっていたそうだが、自信をつけたPさんがお願いしてみたところ、なんとコラボが実現。
こうしてPさんはもう一度チャンネル登録者数10万人を達成することに成功し、晴れてレイワ荘の卒業生第1号となったうえ、YouTubeで収益までも出せるようになったのだ。
ここでPさんが学生に伝えた教訓は、「ひとりじゃない」ということだ。
Pさんが現在のように楽しく活動できるようになるまでにはレイワ荘で共に切磋琢磨する仲間の存在が大きかったわけだが、Pさんは自身の職業とはまったく関係ない友人などにも相談することもすすめている。
Pさんいわく、自分のビジネスとはかかわりのない友人に相談してみることで、目から鱗の言葉をもらえることがあるのだという。Pさんの場合は、スタッフ、クライアントのほか、ファンも意見を求める対象に含まれるそうだ。
PさんのYouTube活動の根底にある“ブレない軸”
PさんのYouTubeでの活動の根底には、水溜りボンド・カンタから教わったという“ずっと大切なブレない軸”というものがある。
これは、動画のテーマを「楽しくやれる事」と「やりたくない事」に分け、さらにそのテーマを「数字が取れる事」「数字が取れない事」に分類。「楽しんでやれる事」と「数字が取れる事」が交わるテーマが理想の動画になるということだ。
「やりたくない事」と「数字が取れない事」が交わってしまうと、自身のかなでも評価の低い動画になるだけでなく、誰からも褒められることがない最悪の状態に陥るわけだ。
Pさんがこの軸で最も大切にしているのは、「楽しんでやれる事」。YouTuberという職業だからこそできる選択なのかもしれないが、「楽しんでやれる事」でなおかつ数字が取れそうなものについては挑戦するという。
YouTuberは数字や視聴者からの評価が重要なわけだが、大前提として活動を継続しなければ話にならない。Pさんが「楽しんでやること」を軸にしているのには、楽しみながらYouTube活動を“とにかく続ける”という信念を持っていることも理由のようだ。
Pさんのチャンネルでは収入公開動画が人気を集めているのは前述のとおりだが、毎月行われている同企画動画を見る限り、その収入はチャンネル登録者数10万人という数字をもってしても20代の社会人が贅沢をし、遊んで暮らせるような金額ではない。
そこでPさんは、YouTubeでの活動を続けるためにアルバイトに応募したことも授業で暴露。多くの人がこの決断に不安になるかもしれないが、Pさんにとっては「楽しんでやればOK」なのだ。
しかし2019年12月に個人チャンネルを開設後、酸いも甘いも経験したPさんがこの2年弱を通して出した結論は、「好きなことで生きていくのはやっぱり難しい」ということ。
だが好きなことで人生を楽しみ、失敗したとしても死ぬわけではない。続けてPさんは「楽しんで挑戦し続けることが成功につながる」という言葉を発したのだが、この言葉は「ポジティブ、ポジティブ」を持ちネタにするPさんならではの考え方があらわれているのだ。
コメントする