声真似クリエイター社畜系ニート飛流kame

『クレヨンしんちゃん』に登場する野原ひろしのモノマネで知られる、声真似クリエイターの社畜系ニート飛流kameさん。活動開始から13年という長きにわたり活躍するkameさんは、YouTubeチャンネルでの「歌ってみた」企画が好評で、1000万回以上再生されている動画も複数あるほど。

そんな偉業を持つkameさんだが、今年1月末に急性前骨髄球性白血病が発覚。約2カ月の入院生活を乗り越え、現在は以前にもまして精力的に活動している。今回のインタビューでは、活動開始当時の話から急性前骨髄球性白血病の闘病について話をうかがった。

最初はニャンちゅうだった!? 野原ひろしに変貌を遂げた経緯とは?

声真似クリエイターkameさん

--配信者として活動することになったきっかけについて教えてください。

kame:2009年にニコニコ生放送で配信を始めました。当時、付き合っていた彼女がいたんですけど、12月に入って急にフラれたんですね。自棄になってというか、どこか発散できるところはないかと思っていたところで、「こういうのがあるんだ」と思って始めたんです。でも普通に配信するのは面白くないなと、NHK教育テレビに出てくるニャンちゅうのモノマネをやってみたのがきっかけでした。

--ニャンちゅうからどうやって代表作ともいえる野原ひろしの声真似にたどりついたんでしょうか。

kame:その当時、ほかにもモノマネで配信している方がいて、けっこう人気があって。そのなかで『サザエさん』に出てくる穴子さんのモノマネをしている配信者の方と、地声で話す機会があったんです。地声で話してみたら、「あなた、野原ひろしとかできるんじゃないですか」って言われて。

    もともと野原ひろしの声を担当している藤原啓治さんは、声優として好きだったんです。それで、声真似ができるようになったらすごくいいなって思ったんですが、始めたのはその人のアドバイスがきっかけですね。だから最初まったく似てなかったんです。だんだん似せていった。

--声ってどうやって似せていくんですか?

kame:自分の音声を録音して、本家の音声と比較して、よせていく感じです。「これ全然違うな」とか「もうちょっと音程よせよう」みたいなことを繰り返していきます。

--2020年3月に投稿された「【クレしん】野原親子が白日歌ってみた【King Gnu】」の再生回数が1,838万回(2022年7月時点)を突破していますが、歌ってみた動画ってコツってあるんでしょうか?

kame:自分は地声がわりと声真似に近いので、そんなに歌ってみた対策も意識してやっている感じはあんまりないんです。慣らすしかないんですよね、つねに声真似しながら何時間しゃべり続けられるかっていう。声優さんが歌っている動画があったらそれがお手本になるし、強いて言うなら、「このキャラならこのトーンだろ」っていうトーンで歌ってみて、違和感がないかをみています。

    あとはなりきりじゃないですけど、「このキャラだったらこういうふうに歌うだろう」と意識したり。恥ずかしいと思っちゃいけなくて、ノリでやるとそれっぽくなりますね。

--すごく地道な作業が必要なんですね。納得のいくクオリティになるまでってどのくらいかかりました?

kame:いまでもまだ全然納得していないですけど、世に出して、「まぁ大丈夫そうだな」って思えるくらいになるまでは、1年くらいかかりましたかね。その1年間は、「あいつ似てないな」とか言われつつも、それでも配信していました。

--kameさんにもそういう時代があったんですね。これまでの活動の中で1番苦労したことってなんでしょう?

kame:YouTubeで活動する前、今から4~6年前あたりだと思うんですけど、ニコニコの視聴数が伸びなくなってきて、ツイキャスもそこまでうまくいかなかった時期があって。そのとき東京で仕事をしていたんですが、仕事もうまくいかず、最悪な時期だったんです。ただの趣味の延長線だったので、なんか伸び悩んでいるなーっていうことはありましたけど。それはいまでもありますし、もがきながら、楽しみながらやっています。

--ほかにはいま、どういった悩みがあるんですか?

kame:課題としてあるのは、配信者ってリスナーの名前を覚えて、推しメンをつけるっていう文化があるじゃないですか。配信でもリスナーの名前を読み上げるみたいなファンサービスがありますけど、そういう活動を全然してこなかったので、いまだにできないんですよ。自分には全然合わないけど、そういうのも必要なのかなって思うんです。そういう技術があれば、また違うのかなって。周りをみていてもそう思いますね。

--モノマネのレパートリーについてはどうでしょう?ほかのキャラに挑戦したいとかはありますか?

kame:それも結局、藤原啓治さんが担当しているキャラになっちゃうんですよ。一点特化しすぎちゃうと、そうなっちゃう。普段も全然違うキャラを100人も200人もできる人の方がすごいと思うんです。いまさらそっちの方向にシフトするのは無理だと思うけど、憧れはありますよ。

--昨年、テレビ番組に顔出しで登場して話題になりましたが、顔を出して活動することについてはどう思いますか?

kame:全然いいんじゃないですか。テレビに出ている人は顔を出していますし。隠しているとどうしても活動に制限が出ると思うし、中身を売っていくのは重要だと思うので。顔を出したらイメージ崩れるっていうのももちろんあると思いますけど、なかなか活動は発展していかないと思います。もっと自分を出したほうが生き残れるのかなって。それも課題ですね。

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