公式に反応してもらう秘訣は「原作に忠実につくる」こと 徹夜で作品を一気見する裏の努力も発覚

WHIP SUGAR 作 『ウマ娘 プリティーダービー 』 より「ゴールドシップ」

MEGWIN:作品をつくるうえで気を付けていることってあります?

WHIP 旦那:公式のルールにはのっとって、やっぱりちょっとずらしたり、形崩すと「違う」って思われたりするんで。アニメのものはアニメに忠実に。よくトレースとか模写とかいわれることが多いんですけど、やっぱ崩すと公式感がなくなるので、全部がぜんぶ同じにすることもあるんですけど。

      次回予告は、そのまま作っちゃえばいいので。そうじゃない場合は、周りのモチーフをちょっと変えたり、若干オリジナル感を持たせつつ、みんなが見慣れたシーンとなるように心掛けてますね。

MEGWIN:公式感っていうのは、そのまま使うイコール公式感っていうことですか?

WHIP 旦那:っていうのもありますね。どこかのサイズが少し違えば、それはもうみんなが知ってるピカチュウじゃないってなってしまうので。

MEGWIN:YouTube のロゴ使うときは、「色はこれにしてください」ってルールがありますけど、アニメは「これはこの色で」とか指示書ないじゃないですか。それはアニメ見て、トレースするみたいな感じが公式ってことですか?

WHIP 旦那:それがパクリだとはいわれてないからまだよいかなって思いますけど、いってしまえばフィギュア作る人だって公式のものをフィギュアにしているので。我々がやっていることは、お菓子の半フィギュアを作ることなんです。

MEGWIN:食べられるか食べられないかの違いか。

WHIP 旦那:「世界一食べられないクッキー」って(笑)。

MEGWIN:切ない……フィギュアには寿命はないけど、こっちにはあるって。

WHIP 旦那:儚さもまた感じてもらいたいですね。食べないから結局クッキーは残るけど(笑)。オーブンで焼いて、水分飛ばしてるので、北海道は湿度が低いから、2、3 年は観賞用としてとっておけるんです。

MEGWIN:それでも期限付きですもんねー。

WHIP 旦那:妻は 2 年もあれば大進化してるんで。1 年前とか半年前のも、けっこうはずかしいっていってます。

MEGWIN:それは見ててもわかりますよ。作り方も全然違うじゃないですか。

WHIP 旦那:だいぶ進化してますよね。

MEGWIN:この分野がまだ若いのかもしれないですね。追随する人もそんなにいないし、プロフェッショナルな方もまだいないから、もしかしたらプロフェッショナルが独走してるかもしれないですもんね。1 番お気に入りの作品っていうのは、何かありますか?

WHIP 旦那:妻は常に「最新作が最高傑作」といっています。過去のやつは、「ここはこうしたかった」とかいまだにいうので。

      でもやっぱり、バズった作品には愛着がわいちゃいますよね。YouTube でも五条先生だったり、もともと好きなキャラを作っているんですけど、再生数が伸びなかった子よりは伸びた子の方に愛が行っちゃうっていう(笑)。

MEGWIN:正直(笑)。まったく見たことがない作品はないんですか?

WHIP 旦那:ないですね。私がアニメ大好きっこなんで、なんでも見てて(笑)。

MEGWIN:奥さんは見てるんですか?

WHIP 旦那:妻にも見させます(笑)。「これはガンガン作るから、これは見て」って。『ウマ娘』もほぼ徹夜でアニメを見させてから、作りました。

アイシングクッキー作成のポイントはアイシングクリームにあり! 最初からキャラクターは作れない

WHIP 旦那さんが作るコルク作品

MEGWIN:海外の人ってどれくらい見てるんですか?

WHIP 旦那:まだそんなに多くないので、人気の動画には少しずつ字幕入れてます。

MEGWIN:そうなってくると、今後は海外のアニメ見て、次回予告見て……。

WHIP 旦那:海外人気のものも今後取り入れていこうと思っています。ジャンプ作品でも、海外で人気のある作品のチェックはしているので。いまはまだ日本人ユーザーが多いので、取り逃がさないように。

MEGWIN:まずはここで試して、海外も行くぜーって。海外の巨額なマネーがきそうですね(笑)。

WHIP 旦那:海外の YouTuber の方からもコラボのお話もきてるんですよ。

MEGWIN:広がりが早いよな、最近は。初心者がアイシングクッキーを作るときに、抑えておくポイントってありますか?

WHIP 旦那:「最初に難しいものを作らない」っていうことはいつもいってますね。動画見てやってみようっていっても、できないので。

      私もコルクでポケモン作っているんですけど、そんな私も妻のクッキーを真似ようと思ってもまったくできなかったんです。まずは、丸やハートのクッキーにアイシングをふる。アイシングクリームに慣れてから、いろいろやっていくっていう段階を踏んだ方がやっぱりいいですね。

MEGWIN:キャラですらないんですね。

WHIP 旦那:それで諦めちゃう人がけっこう多いんですよ。

MEGWIN:ハードル高いんですね。

WHIP 旦那:アイシングクリームを作れない人が多いんですよ。絵具で色を作れないのと同じで、柔らかさ、硬さが難しいんですね。

      1 作品にだいたい 10 個以上のアイシングクリームを作ってるんで、色が 5色だとしても、柔らかいの、中間の、硬いのを 1 色ずつ全部用意しないといけないんです。使い分けないと、尖がった部分が作れなかったり、髪の毛がうまく描けなかったりとか。

MEGWIN:深いな。それはまずはハートから作るのが正解ですね(笑)。

WHIP 旦那:アイシングクッキーを作る教室もあちこちでやってるんで、そういうところに行って、どれが正解のクリームかというのに触れることが大事ですね。どんな柔らかさがいいかわからないから、水っぽくなっちゃってできないとか、こんなに硬いのねとか、わかればまた違うんでしょうね。

MEGWIN:コツコツやるっていう積み重ねが大事なんですね。

WHIP 旦那:ハートとか、100 円ショップで冬になると売り出す雪だるまとか、あんなのから始められればいいんじゃないですかね。

MEGWIN:最後に、今後チャレンジしたいことや目標を教えてください!

WHIP 旦那:2 年で 10 万人を目指してやってきているので、10 万人いけるように。あとは続けていきたいので、どっかで苦しくなってやめるってことがないように、続けられる体力もつけていきたいですね。

今回のインタビューでは、WHIP 旦那さんから今まで公に明かされることのなかったヒットの方程式や公式に反応してもらうヒントなど、クリエイターの方々にとって貴重な情報をいただけた。

WHIP 旦那さんには「仲間を底上げし、一緒に盛り上がれるチームを作っていきたい」という想いもあり、惜しみない情報発信は、この考えや仲間を大切に思う人柄からきているように感じられた。

日々進化し続ける「WHIP SUGAR」は、今後どのような作品で楽しませてくれるのか。そして今年中にチャンネル登録者数 10 万人を無事達成できるのか、これからの活躍に期待を寄せたい。

■WHIP SUGAR さん YouTube はこちら:ホイップシュガーのアイシングクッキー WHIP SUGAR

■MEGWINさんについて:
お笑い芸人として活動後、2005年にインターネット放送局「MEGWIN TV」を開設。2009にYouTubeとパートナー契約を締結し、2017年にはチャンネル登録者数100万人を突破したベテランYouTuber。「オレがオレにオンデマンド(自分の好きなようにやる)」を謳い、日々動画を投稿し続けている。
MEGWINさんのYouTubeはこちら:MEGWIN

おすすめの記事