
『山と溪谷ch.』の「【これで命を守る】5つのクマ撃退スプレーを噴射してみた」は、東京農業大学の山崎浩司教授が5種類のクマ撃退スプレーを実際に噴射し、その使い勝手を徹底検証。
利用者が知っておくべき正しい使用法と、いざという時に焦らないための事前準備の大切さを伝えている。
クマは低い姿勢で突進してくるため、スプレーは地面に向けて打つイメージが必要だという。立った状態で噴射すると、どうしても上に向いてしまい、クマの粘膜に届かない。
製品ごとの有効距離は10m前後だが、教授が推奨するのは5m、実験では3mが最も効果的だった。
10秒間という長い噴射時間も意外な発見である。
また、カプサイシン2%以上配合でアメリカEPA認証のあるスプレーを選ぶことが重要だと強調される。
セーフティ装置の外し方や、聞き手ですぐ取り出せるホルスターへの装着など、細かな準備が命を分ける。
特に印象的なのは、自分にもスプレーがかかると「地獄の苦しみ」になるという教授の体験談。
風向きを考慮する余裕などない緊急時だからこそ、事前の練習が不可欠なのである。
実際に噴射した際、「これは硬いです」「待って」という戸惑いの声が上がった。
国産のプッシュ式スプレーは特に力が必要で、初めて使う人は押せずに焦ってしまう可能性がある。
北米製のトリガー式は比較的軽いタッチだが、それでも練習なしでは噴射口の向きを見失う危険がある。
有効期限切れのスプレーを捨てずに練習に使う方法や、カプサイシンが入っていない練習用スプレーの存在も紹介される。
テントにスプレーを吹きかけてクマ除けにする誤った使い方への警告も重要だ。液体が粉になって自分が吸い込んでしまううえ、唐辛子の匂いがクマを引き寄せる可能性もあるという。
スプレーは「持っているだけでお守り」ではなく、使える状態にして初めて命を守る道具になる。
一度も噴射せずに山に入るのは、弾の入っていない銃を持つようなもの。この動画を見れば、その覚悟が変わるはずだ。
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