おいしい店を探すのにインターネットを使うのは常識だが、有名グルメサイトにも載っていないような飲食店を紹介する『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』(日本テレビ系)は、おいしいだけではない“プラスアルファ”を持ったお店を紹介する番組だ。今年4月からレギュラー放送がスタートした同番組は、激しい視聴率戦争で見事に成功を収めている。
「2021年もいろいろな新番組が始まりましたが、バラエティはほぼ惨敗。そんななかで別格の数字を叩き出しているのが『オモウマい店』です。もともと特番で良い数字を取っていた番組でしたが、レギュラーになると、初回から安定して視聴率2ケタをキープ。10月には14.8%を記録して、バラエティ番組のトップに立ちました。
グルメ番組で視聴率を取る3つのポイントは、“安い”“うまい”“量が多い”ですが、『オモウマい店』は、そこに“人間ドラマ”を加えたところが勝因でしょう。とにかく気前良くサービスし、それを断ると逆に怒ってくる女主人や、料理を安くて提供しすぎてバイトをしている店主が登場したかと思えば、夏場にクーラーが壊れてグッタリしている店主を2週にわたって放送するなど、放送内容はグルメ番組のセオリーにないものばかり。瞬く間に高視聴率番組に上り詰めました」(テレビ情報誌記者)
番組で紹介された店には客が殺到し、最近の放送では「放送後は混み合います」とのテロップも添えられるようになったほどである。
ところが、そんな『オモウマい店』に飲食業界のプロが噛み付いた。11月28日に放送された『日曜日の初耳学』(TBS系)に、“天才飲食店プロデューサー”が登場。安くてうまい店に異議を唱えたのだ。
「番組に登場した飲食プロデューサーは、これまで割烹料理やフランス料理などを30以上の店舗をプロデュースし、人気飲食店チェーンの総料理長も務める人物。司会の林修先生のオファーで登場した男性は、まず『日本の食は安すぎる』と話し、流行っているように見える店でも、実態はカツカツなことが多い飲食業界の実情を説明しました。
そして、儲けを度外視して商売するような店について、『美談かもしれないが、周りの店は大変』『結局は飲食業界の首を絞めている』と持論を展開。スタジオでは、『確かにそういう番組が流行ってるし』との声が上がり、日テレの『オモウマい店』が念頭にあったのは明らかでした」(エンタメ誌ライター)
コロナ禍を抜きにしても飲食業界が大変なことは、店の入れ替わりの早さを見れば分かる。だが、安くてうまい庶民の味方の店を敵視するような発言に対し、ネットでは
「客が貧乏なんだから仕方ない」
「高くても食いに来るような店にしなよ」
「自分の立場でものを言ってるだけ」
といった、厳しい声も寄せられた。上り調子の『オモウマい店』に噛み付いた『初耳学』だが、キー局関係者はこの論争を冷静にこう分析する。
「『日曜日の初耳学』は放送が始まって5~6年経ちますが、番組内容がコロコロと変わっており、今年4月にリニューアルしてテコ入れしましたが、視聴率は低空飛行が続いています。そもそもこの番組の放送時間は、超高視聴率の『日曜劇場』の後で、裏番組もそれほど強くないのに、良い流れをまったく作れていない。尖った意見を紹介すれば瞬間的には話題にはなりますが、“炎上マーケティング”に頼るようではそろそろ……という声も上がる時期なのかもしれませんね」(キー局関係者)
まさか、「オモウマい店に噛み付くなら今でしょ!」と思ったのだろうか?
コメントする