千鳥ら若手が力をつけた関西ロケ番組『せやねん!』フースーヤが成功の予感!ボケ倒すロケに大絶賛が

松本人志が局長をつとめる『探偵!ナイトスクープ』や千鳥がMCの『相席食堂』(ともに朝日放送)など、関西制作のテレビ番組は見逃せないものばかり。近年では、TVerをはじめとする配信プラットフォームの充実により全国各地の番組も視聴できるようになり、関西局の存在感も増している。昔から、若手タレントたちがこういったローカル番組で力や自信をつけてから東京へ進出し、活躍するパターンは数多い。

そんな関西制作のもののなかで、絶対に見逃してはならない長寿番組がある。毎週土曜日オンエアの『せやねん!』(毎日放送)だ。

2001年にスタートした同番組は、ダウンタウンと同期のお笑いコンビ、トミーズを中心とした情報バラエティ。なぜ『せやねん!』に注目するべきなのか? それは番組内のロケコーナーが若手芸人たちにとって登竜門的になっているからだ。歴代のロケコーナー担当は、ブラックマヨネーズ、千鳥、かまいたちなど。錚々たる顔ぶれだが、全国での本格ブレーク前、同番組のロケコーナーで腕を磨いていた。

6月26日のオンエア回ではニッポンの社長、フースーヤの若手2組が、各分野でトップの人、もの、場所の真髄を学びに行くコーナー「はじめまして!ヨッ!ほぼニッポン1!?」に登場。トミーズ・雅が「内容がおもしろかったらレギュラーに」と断言したことで、スタジオ内は色めきだった。

ただ2組のロケ内容は、やや明暗が分かれるかたちとなってしまった。ニッポンの社長のケツ、辻は『せやねん!』初ロケとあってか、気負いすぎた感があった。VTRがはじまる前から辻も「はりきりすぎて空回りした。オープニングから頑張りすぎて、衝撃の展開になってしまった」とエクスキューズ。

酔拳の達人に会うため、大阪市阿倍野区へやって来たニッ社。オープニングでは、ケツが「メトロノームのハーフです」と顔を激しく揺さぶったり、ラジオ体操を披露して「なに見てんねん」とブチ切れたりするが、確かにちょっとすべり気味。町会長の男性をつかまえて話を訊いたときも、ケツが、男性から町内会名の間違いを指摘されて「知らないですよ!」と大声でツッコミ。スタッフから「今は人を傷つけない笑いが流行っているので」と忠告される一幕も。出だしからギクシャク感が漂った。

肝心の酔拳のレッスンを受ける場面は、見どころがまったくなかったのか全カット。結局、達人がバンド・たまの知久寿焼と音楽ユニットを組んでいることを知り、辻が「自分の単独ライブでたまの曲を使っている」と共通点を見つけ、一緒に曲を聴いて酒を飲むという本題とは外れた内容ばかりオンエアされることに。

『キング・オブ・コント2020』(TBS)での「ケンタウロス」のネタほか深遠さも兼ね備えた笑いが高く評価されているニッ社だが、今回のロケは彼らの大きな課題が見つかった気がした。

一方のフースーヤは、今後の全国での成功を予感させる凄まじいロケとなった。

「新感覚ノリ芸人」として注目度があがっている田中ショータイムと谷口理。『せやねん!』での初単独ロケで挑んだ内容は、福井県での巨大鯉の釣り上げ。早朝3時半からの撮影にも関わらずエンジンのかかりが異常に早く、オープニングから「オーマイゴッドファーザー降臨」「巨大な鯉だろうが釣ろうじゃ内科、外科、定期検診 上杉謙信」と畳み掛ける。あまりの勢いにスタジオのアキナも口を大きく開けて爆笑。

隙あらばギャグを放り込んでくるフースーヤの姿勢に、スタジオの宇都宮まきは「すごい」、トミーズ・健も「なんでもできるなあ」と感嘆の声があがる。トミーズ・雅からは「ええやつ(良いギャグ)から出していけよ」と物言いもあったが、それでもフースーヤとしては間違いなく手応えがあったのではないか。

「釣れへんかったらシャレにならない」とスタッフからプレッシャーをかけられ、何時間も「待ち」の状態が続いて「このままじゃ山場がない」と危険信号が発せられたときも、田中が森山直太朗の声マネで『おさかな天国』を熱唱して湧き上がらせる。巨大鯉ではなく巨大亀を釣り上げたときは「気分は上々、竜宮城」と、ひたすらピンチをチャンスに変え続けた。

VTRが終わると、トミーズ・雅は「めちゃくちゃおもしろい」とフースーヤを大絶賛。雅から「(フースーヤのロケを見て)どうやった?」と話を振られたニッ社・辻は、「互角だったと思います」と振り絞るのが精一杯。ウケまくったフースーヤを前に、ニッ社はどこか悔しそうな表情だった。

土曜昼の関西ローカルの番組内で、注目の若手2組が散らし合った火花。情報番組とあって『せやねん!』は見逃し配信がおこなわれていないが、「関西若手芸人のリアル」が楽しめるとあってより多くの人に情報をキャッチしてもらいたい番組である。機会があればぜひまたリポートをしたい。

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