トップクラスになると、1週間で500万再生を稼ぎ出すこともある「VTuber(バーチャルYouTuber)」。VTuberの配信内容には「歌ってみた」「ASMR」「雑談」などがありますが、とくに多いのが「ゲーム実況」でしょう。そこで今回は、“なぜVTuberはみんなゲーム実況をするのか?”を考察してみたいと思います。
なぜVTuberたちはゲーム実況をするのか?
今、YouTubeで大人気の「VTuber(バーチャルYouTuber)」。その配信内容には「歌ってみた」「ASMR」「雑談」などがありますが、圧倒的に多いのが「ゲーム実況」です。
ゲーム実況とは、ゲームをプレイしながら雑談するという配信スタイルで、これはトップクラスのVTuberから新人VTuberまで変わりません。
それでは、どうしてVTuberたちはこぞってゲーム実況をするのでしょうか? ここでは、その理由とメリット&デメリットを解説します。
【1】VTuber自身がゲームが大好きだから
まず、VTuberたちはみんな「ゲームが好きだから」というのが第一の理由となります。
ゲーム実況を配信しているVTuberには「ゲームに非常に詳しい」「配信の中心としているゲームがある」「ゲームが上手い」「VTuberなどが主催している大会に出場している」といった特徴があります。
元々ゲームが大好きなVTuberは一般人よりプレイ時間が長く、ワザやコンボの研究なども熱心なためゲームの知識が豊富です。なかには、大きな大会で上位入賞するほどの腕前を持っているVTuberもいるほどです。
このようなVTuberのゲーム配信なら、視聴者は内容の濃いプレイを堪能できるため、人気が出るのは当然のことですね。
【2】視聴者がゲームの配信をリクエストをするから
VTuberが、ゲーム実況動画をアップしたりゲーム実況配信をしていると、必ずと言っていいほど「次は〇〇というゲームの実況をしてほしい」というリクエストがコメントやチャットに届きます。
VTuberからすれば、視聴者が望んでいるゲームがあるのなら、次はそのゲーム実況配信をやるのは当然のことでしょう。
こうして、VTuberは視聴者のリクエストに応じて、次々とゲーム実況を配信し続けることになるわけです。
ただし、視聴者が見たいのはリクエストしたゲームに対してVTuberがどのような反応をするのかを楽しめる「初見プレイ」だったりします。
つまり、初めてVTuberがそのゲームをプレイして、戸惑ったり失敗したりする様をみんなで楽しむわけです。こうなると“VTuberの素晴らしいプレイを見たい”という本来のゲーム実況とは異なる状況になっていきます。
【3】ゲーム実況は注目されやすいから
そもそも、日本でのゲーム人気は非常に高く、古くからニコニコ動画やYouTubeで、人気ゲーマーのスーパープレイ動画などがたくさん投稿されてきました。
元々ニコニコ動画でゲーム実況をやっていたというVTuberも多く、VTuberがゲーム実況をやるのは自然な流れなのです。
最近、VTuber事務所の新人オーディションでは、「ゲームに詳しい」という条件が、ほぼ必須になりつつあるほどです。
もちろん、VTuberの動画や配信のタイトルに人気のゲーム名があれば、そのゲームが好きな人はつい気になって見てしまうでしょう。
したがって、再生数が伸びない新人VTuberは、安易に人気のゲームタイトルを利用した配信を行ってしまいがちなのです。
【4】ゲーム実況は著作権をクリアしやすいから
YouTubeにおいて、映画やマンガの画像を使用するときは、著作権所持者の許可を取るのが基本です。勝手に他人の著作物を利用すれば、著作権侵害となって大問題になる可能性があります。
しかし、ゲームはメーカー側がYouTubeやニコニコ動画などでゲーム実況してもよいと公表していることが多く、なかには収益化することも認めているメーカーもあります。
これは、メーカーもVTuberがゲーム実況をしてくれることで、ゲームの宣伝になって盛り上がることを期待しているという特殊な事情によるものです。
つまり、VTuberにしてみれば、著作権のことをあまり気にせず配信の素材としてゲームが使いやすいということも、大きな理由になっていると言えます。
●任天堂「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」→こちら
●ソニー「法的表示」→こちら
● Electronic Arts「EAコンテンツの利用許可の申請方法」→こちら
【5】ゲーム実況は利益を生みやすいから
VTuberの動画や配信のタイトルに人気のゲーム名があると、再生する人が増えて結果的にVTuberの収益は増えます。
また、ゲーム実況で人気のあるVTuberになると、ゲームメーカー側から新作ゲームの発売前後に、宣伝を兼ねた依頼が数多く舞い込んでくることもあります。
つまり、ゲーム実況を行うことでVTuberの収益が増えるのも理由のひとつになっているのです。
【6】VTuberがみんなゲーム実況をしているから
ゲーム実況は、YouTuberのコンテンツとしてはド定番になっていますので、“みんながやっているから”という単純な理由で行っていることが考えられます。
それ以外にも、チャンネル登録者数が少ない新人VTuberが、自分の動画を発見してもらうために、あえてトップクラスのVTuberがプレイしたゲームと同じタイトルを実況することがあります。
YouTubeでは、ある動画を再生すると関連する動画が視聴者のホーム画面に表示されるので、新人VTuberが自分の動画もついでに再生されることを期待しているというわけです。
●APEX LEGENDS(公式)→こちら
VTuberがゲーム実況をするデメリットは?
VTuberがこぞってゲーム実況をする理由は、何となくお分かりいただけたでしょう。
でも、VTuberがゲーム実況を行うことが、逆にデメリットになるケースも考えられます。とくに、新人のVTuberが無理に得意でもないゲーム実況をすると、あまりいい結果は得られません。
【1】ゲームが下手で知識がないと人気が出ない!
VTuberのなかには、プロ並みの腕を持つゲーマーも少なくありません。ゲームが上手くない、あるいは知識が乏しいVTuberが安易にゲーム配信を行っても、人気が出ることはありません。
視聴者のなかにもゲームが上手で知識が豊富な人が多いので、下手なプレイを見せられれば「何でそんなことするんだ!」や「もっと上手くやれよ!」といった、いわゆる「指示厨」が増えます。
これにより、視聴者同士がケンカしたり、チャットが変なコメントで溢れてしまい、結果的にほかの視聴者も離れていくことになります。こうなると、ゲーム実況をすることが大きなマイナスになりかねません。
すでに、人気のあるVTuberやゲームでの失敗をリカバリーできるほどのトーク力があれば別ですが、そもそも、それだけのトーク力があるなら、もっと別のコンテンツで人気を得ることができるでしょう。
●VTuber最協決定戦(公式)→こちら
【2】人気ゲームは配信者が多くて埋もれてしまう!
トップクラスのVTuberがプレイした人気ゲームと同じものを実況することで、自分のゲーム実況をついでに視聴してもらう作戦にはデメリットもあります。
それは、人気ゲームの配信は数が多すぎて、「ちょっと得意」「ちょっと上手」程度では誰も見向きもしてくれないことです。
また、特定のゲーム実況ばかりやっていても、そのゲームに興味のない視聴者には見てもらえないため、ゲーム実況は自ら視聴者を制限してしまうことになりかねません。
【3】ゲーム実況を中心に配信すると行き詰まってしまう!
「FPSで2回に1回くらいは優勝できる」あるいは「サンドボックス(Minecraftのようなクリエイティブなゲーム)で建築をしてアーティスティックな建造物を建てられる」といった得意ジャンルがあれば、そのゲーム実況で人気を得られる可能性はあります。
しかし、そのようなVTuberでも、視聴者からほかのゲームをリクエストされると、無理して得意ではないゲームに手を出してしまう場合もあります。
知識が乏しいゲームを無理にプレイしても、それをトークでカバーできる実力があればいいのですが、そうでない場合、結局は視聴者が離れていってしまいます。
やはり、ゲーム実況だけに頼らず「歌ってみた」「ASMR」「雑談」などをまんべんなくこなせる実力がないと、数万人いると言われるVTuberのなかで生き残ることはできないでしょう。
まとめ
いかがでしょうか? VTuberたちがどうしてゲーム実況をするのか? その理由が何となくお分かりいただけたと思います。
また、さほど実力もないのに、VTuberが安易にゲーム実況に走るとマイナス面が大きくなることも、理解していただけたでしょう。
いずれにせよ、新人VTuberが人気を得るには、まずトーク力を鍛え、ゲーム以外の得意分野を伸ばすことが重要です。
もし、ゲームが下手であっても、視聴者がその状況を一緒に楽しめるだけの魅力を持っていれば、そのVTuberのファンはどんどん増えていくことでしょう。
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