8月9日、テレビ朝日の東京五輪番組担当のスポーツ局社員ら10人が、オリンピックの打ち上げ名目で、東京都渋谷区にあるカラオケ店で飲酒を伴う会合を行っていた。
緊急事態宣言下であるにも関わらず、宴会を朝4時まで続けた挙句、なんと酒に酔った女性社員の1人がカラオケ店の入るビルの2階から転落し、緊急搬送されている。
「社内では新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、宴会などを禁止するルールを設けていましたが、意識の低さが露呈する形となりました。昨年の4月には『報道ステーション』のメインキャスターである富川悠太アナが、コロナ感染の疑いがあるにも関わらず、隠して番組に出演し続け、富川アナと制作スタッフ4名が結局コロナに感染していて物議を醸しました。今年3月にもニュース情報番組『サンデーLIVE‼︎』のスタッフが送別会を行い、4名の感染者を出していますし、残念ながらテレビ朝日全体が、コロナを甘く見ているというイメージが一向に拭えません」(テレ朝関係者)
冒頭の問題発覚後、8月10日放送の『報道ステーション』で、このニュースの取り扱いに注目が集まった。
同局が誇る報道番組は、いつもと変わらないオープニングから始まり、医療現場の逼迫で“野戦病院“設備が視野に入っていることや、若年層の重症化が高まっていることなど、深刻なコロナ感染状況の今を伝えていた。
気がつけば放送開始から30分ほど経った頃、重い雰囲気の中、富川アナが「テレビ朝日社員ら10人が飲酒」と読み上げ、ことの経緯とテレビ朝日のコメントがTVRで1分ほど流れた。スタジオに戻り、富川アナと徳永有美アナ、コメンテーターを担当する共同通信社編集委員の太田昌克氏の3人が深く頭を下げる。
しかし、顔を上げた富川アナの第一声は「太田さん…」とコメントを求める一言の振りだった。
太田氏は「私自身、言葉を失い怒りが込み上げてきましたね。絶対にあってはならない不祥事ですよ」と酒提供を禁じられている飲食店や、数々の苦境に立たされている事業者、医療従事者などへ詫び、メディアやジャーナリズムに対する市民の信頼を裏切ったことについても、語尾を強め言及した。
しかしメインキャスター2人は、そのコメントをもってしても、頭を下げるのみだった。
「報道局からすればガッカリしている反面、他部署が起こした不祥事であり、同じ局内であっても別といった心持ちなのでしょう。確かに部署ごとの組織が大きいし社外スタッフも多いので、気持ちもわからなくはないですが、この対応だと、視聴者の不信感を煽ってしまいました。現にネット上には『会社のコメントを読んだだけ』など手厳しい声が溢れています。今年3月に『報ステ』のウェブCMが女性軽視だと指摘が相次いだ際も、CMを取り下げ、書面でのコメントを出したものの、番組内で取り上げたり謝罪をすることはなく、内部と世間の感覚のズレがあった。“外部のことで無駄な謝罪を増やしたくない”という姿勢はある意味、一貫しているとも取れます」(既出・関係者)
奇しくも放送同日には、元テレビ朝日アナウンサーの丸川珠代五輪相も、来日した選手に観光を規制していたにも関わらず、オリンピック閉会後に都内散策を楽しんだIOCバッハ会長に対し「不要不急であるかということは、ご本人で判断すべきものであります」と擁護するコメントを発表し、自粛生活で我慢の続いている国民の怒りに火をつけていた。
国民に率先してコロナの脅威や感染防止のための自粛を伝える立場にあるにも関わらず、そこに心が通じていなければ、届くことのないメッセージになってしまう。
問題のスポーツ局社員たちは、「不要不急をご本人たちが判断して」行ったことだったとしても、誰からも擁護される立場にいないだろう。
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