『関ジャム』ラブソングの巨匠・aikoが相変わらず怖い。今年リリースの新アルバム、衝撃の1曲目

9月26日放送の『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)にて、O.A.に入り切らなかった超貴重シーンをお届けする“未公開エピソード放出スペシャル”が放送された。

そろそろaikoの特集を組んでほしい

8月29日に放送された「プロが真面目に選んだキュンとしたラブソング特集」を今見ると、興味深い。ちなみに、この回のゲストはゴールデンボンバーの鬼龍院翔、TempalayのメンバーのAAAMYYY、「紅蓮華」の作曲者であるアーティスト・草野華余子の3人である。それぞれの人生にリンクした形で思い出に残るのがラブソングだ。というわけで、AAAMYYYと草野は過去の恋愛体験を赤裸々に語った。

「バンドやられてる男性ってわりとすぐ恋しちゃったり、悪い恋をいっぱいするじゃないですか。そういうのを目の当たりにしてショックだった。(「“バンドマンやべえな”って思ったんですか?」の問いに)そうですね(苦笑)」(AAAMYYY)

「すごく好きだった人に彼女がいて、その人は実は彼女よりも大好きな人がいるけど2番目に好きな人と付き合ってて、それもうまくいかないときの3番目が私だったんです」(草野)

「バンドマンやべえ」とか“2番目3番目”のエピソードを、このときの鬼龍院はどんな気持ちで聞いていたのかが気になる。また、このタイミングでこの回のこの場面を流す『関ジャム』もエグいと思うのだ。

それはさておき、この回は草野の分析が出色だった。彼女が定義する“3大ラブソングの巨匠”は、宇多田ヒカル、椎名林檎、aikoである。奇しくも全員が同期、98年デビュー組だ。

注目は、草野がaikoを語るパート。彼女が取り上げた楽曲は、aikoの「ばいばーーい」であった。「傷付かないように 気でも遣ってくれてたの だったらお願い今すぐ全部返せよ」「あなたの世界はあなたの世界で あたしのベッドもあたしのベッドだ」という歌詞に続く「両方上手に神様にバレない様に 頼んでたの?」という箇所でドキッとする。ここで、二股をかけられていた事実を明かしているのだ。そして、最終的に「ねえ 時間が過ぎるって凄いことなの この曲を作り終えた後 あたしは少し前を向いている」で締める着地。エンディングでいきなり、曲の主人公が生身のaikoになる構成なのだ。これにはヒヤッとした。

ちなみに、「ばいばーーい」は今年リリースされたアルバム『どうしたって伝えられないから』のオープニング曲である。1曲目からこれだったのだ。衝撃がえげつないし、重すぎて地上波で分析するには腰が引けるナンバーだと思う。生々しいと言うより、そのときの気持ちを本人が書いたような曲なのだから。相変わらず、しみじみ怖い人である。関ジャムはそろそろaikoの特集を組んでほしいと思う。

6月6日放送「実は超大変! 3ピースバンドのギターボーカル特集!」で、和田唱(TRICERATOPS)が言及したのは“ギターを構える高さ”だった。和田がデビューした20代の頃は、低く構えるのが不良っぽくてカッコ良かった。しかし、時代を経て流行は変わった。今の若いギタリストは、みんな構える位置が高い。

「だから、下げていると“古い人”って思われる」(和田)

隔世の感だ。かつてのギターキッズはジミー・ペイジに憧れ、多くの若者がギター位置低めでも演奏できるよう練習したものだった。布袋寅泰にしたって、構える位置はかなり低い。それがデフォルトだったのだ。高い位置に構えようものなら「バタやん」(高くギターを構える歌手・田端義夫の愛称)と呼ばれ、イジられることもあったほど。だから、サンボマスター・山口隆の出現は逆に衝撃だった。でも、今の感性で当時のギタリスト写真を見ると、もうすでに懐かしい。今の感性なら、ストロークスみたいに高い位置で弾くほうがクールに見える。

99年の頃の和田の写真を見ると、やはりとんでもなく低い位置でギターを構えているのだ。何しろ、本人が「信じらんねーな、こんな低かったんだ」「(当時の低さは)もう無理っすね」と驚くほどなのだから。

言うまでもなく、低い位置で弾くのは難しい。手首が柔らかくないとダメだし、そもそも手が短い日本人には向いていない。さらに、ギター位置を低くしすぎると弊害も出てくる。ギターを低めにするということは、右肩を下げて弾くということでもある。結果、ライブが終了後も右肩が左肩より遥か下に来るいびつな姿勢になってしまうのだ。

これは“ギタリストあるある”の一つなのだが、和田が異常に誇張して説明したため、関ジャニ∞から総ツッコミを受けて信じてもらえない事態に……。和田唱、さすがのギター漫談だ。伊達に芸能一家の出じゃない。

3月28日放送「ヒット曲の裏の立役者」特集で音楽プロデューサーの武部聡志が明かしたのは、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)主題歌としておなじみ、kōkuaの「progress」にまつわるエピソードだった。というか、この曲に関する逸話が未公開だとは贅沢な!

そもそも、番組からオファーを受けたのは武部だったという。そして、kōkuaはこの曲のために結成されたバンドである。

「『プロフェッショナル』というキーワードで、各パートにプロ中のプロが集まった架空のバンドを作ろうと思ったんです。で、ヴォーカルを誰にしようかと思ったとき、作家性が高くて、曲を書く詞を書くという意味でのプロフェッショナル、歌もその姿勢もプロフェッショナル……ということで、スガ君(スガシカオ)をご指名させていただきました」(武部)

スガが「ミスチルやオアシスが得意な“ロックの転調”を研究して作った」と公言する「progress」で印象的なのは、イントロに流れる低いギターリフだ。番組のテーマにあまりにもふさわしい。

「こういうドキュメントの場合、苦労して苦労してやっと花開いたみたいな場面で流れるのは、ピアノの泣きのメロディーとかじゃなく、みんなで“ガーン!”と演奏するのでもなく、ページを1ページめくるみたいなサウンドが合っている。で、ギターのリフから始まるイントロがいいなあとは考えていました」(武部)

しかし、武部が最重要視するのは鳥肌が立つあのイントロではない。スガが手掛けた歌詞に注目だ。

「ヒットの要因はイントロにあるかもしれないが、1番のポイントは『プロフェッショナル』という番組に寄り添った歌詞だと思う。曲の歌いじまいで『あと一歩だけ前に進もう』という1番おいしいキラーセンテンスを入れ込んでくる所がスガシカオのプロフェッショナルな所で、お願いして本当に良かったなと思った」(武部)

「君と僕の甘酸っぱい挫折に捧ぐ…… “あと一歩だけ前に進もう”」というフレーズは、いかにも“スガシカオ印”な秀逸なメッセージだ。ちなみに「progress」のリリース音源は、なんと1回目に演奏したテイクだそう。まさに、プロフェッショナル!

さて、本日の『関ジャム』は見逃せない内容だ。「伝説のライブ特集」が放送されるようだ。取り上げられるアーティストはBOØWY、BABYMETAL、サザンオールスターズ、GLAY、渡辺美里など。GLAYは20万人を動員した「GLAY EXPO ’99 SURVIVAL」が、渡辺美里は89年における豪雨の西武球場ライブが、ベビメタは2016年の英ウェンブリー・アリーナ公演が紹介されるはずである。

さらに、日産スタジアム無観客配信ライブ(9月4日)直後の藤井風も登場する模様。『NEWS ZERO』(日本テレビ系)と『報道ステーション』(テレビ朝日系)に出たことはあったが、藤井が音楽番組に出演するのはおそらく今回が初めて。『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)より前にこれらの番組に出る辺り、やっぱり藤井風はエモい。トークとなると方言全開になる彼(藤井が育った岡山県里庄町は、千鳥・大悟の出身地である笠岡市の隣に位置する)に驚く人も多いのでは?

また、近日放送「唯一無二のボーカリスト特集」では、milet、アイナ・ジ・エンド(BiSH)、アヴちゃん(女王蜂)の3人が出演するらしい。正直、最近の『関ジャム』は刺激的な企画が少ないと思っていたが、ここに来て放出してきた。しばらく面白そうだ。

おすすめの記事