アズキ サムネ

ひらがなやカタカナ、アルファベットを組み合わせ、さまざまなキャラクターを描くYouTubeチャンネル「文字絵師アズキ」。

その創造性に富んだ作品に、キャラクターが登場する原作ファンのみならず目にした誰もが驚かされており、「からめる」という文字でウーパールーパーを描いた動画は、公開から3カ月で150万回以上再生された。

今回はアズキさんに、文字絵を始めたきっかけや気になる作品制作の話をうかがった。

一発書きは文字絵普及のために生まれた! キャラクターの特徴再現が最優先

『ひらがな18文字で描いた竈門炭治郎』

--文字で絵を描こうと思ったきっかけを教えてください。

アズキ: 昔からへのへのもへじのような文字で描かれた絵が好きで、「へのへのもへじでアニメや漫画のキャラクター、人や物、動物が描けるんじゃないか」という考えから、2016年頃から趣味で文字絵を描き始めました。

--YouTubeを始めたきっかけは何ですか?

アズキ:もともとは動画ではなく一枚絵の文字絵を描いて、それをニコニコ静画やpixivといったイラスト投稿サイトやTwitterに投稿していました。

ありがたいことにそれなりに好評をいただいて、「自分以外にもへのへのもへじや文字絵を面白いと思っていただける方が世間にはいるんだな」と思い、よりたくさんの人に文字絵を見ていただけたらと、文字絵の一発書きの様子を動画にしたものをYouTubeに投稿し始めました。

--作品ができるまでについておうかがいしたいのですが、作品にするキャラクターはどのように決めていますか?

アズキ: 基本的に、描く対象はその時に自分が描きたいと思ったものを描かせていただいています。

漫画やアニメのキャラクターを描かせていただく場合は、その作品をしっかり読みこんで、その作品のことをしっかり知ってから描くようにしています。

最近はありがたいことに視聴者の方々からリクエストなどもたくさんいただいていて、描きたいものがない時はリクエストの中から選んでいます。

--キャラクターを見た際に作品のイメージがわくのか、じっくりキャラクターを見て作品のイメージを膨らませるのか、どちらのタイプでしょうか?

アズキ:どちらかというと前者になります。

正確にいうと、キャラクターの容姿と名前・使いたいキーワードの文字をみて、「この文字は目に使える」「この文字をこう配置したら顔の輪郭に使えそう」というのをある程度決めて実際に紙に書いていき、より細部を決めていく、というやり方をしています。

--作品ができるまでに、どのような工程があるか教えてください。

アズキ:まずは描きたいキャラクターと使いたい文字を決めます。目や髪型といったそのキャラクターの特徴を再現することを最優先に文字を配置していき、文字絵の原案を完成させます。

その次に原案を元に下書きを作成し、下書きを清書、文字がわかりやすいように文字の縁を着色して文字絵が完成します。

--文字絵が完成した後、どのように動画を制作していくのでしょうか?

動画にする場合は、完成した文字絵を手本に一発書きの練習をします。一発書きである程度形がとれるようになったら、動画の撮影と編集をするというかたちです。

『鬼滅の刃』竈門炭治郎の文字絵で初めて100万回再生を突破 視聴者増加へ

「竈門炭治郎のうた」の歌詞で描いた竈門兄弟

--これまでの作品のなかで、1番難しかった作品はどれですか?

アズキ: YouTubeに投稿した動画のなかで動画作成が1番難しかったのは2020年2月11日に投稿した『ひらがな18文字で描いた竈門炭治郎』です。

--ちなみに、どういったところが難しかったですか?苦労した部分があれば教えてください。

アズキ:当時YouTubeに投稿していた文字絵動画は、自分の一発書きの技術的な面もあり、キャラクターをデフォルメしたミニキャラ風文字絵を中心に投稿していました。

しかし、こちらの作品は初めて原作絵に近い頭身で描いた文字絵だったため、一発書きではなかなか形が整わず何度も撮影し直し、描いた中で1番よかったものを動画にしていたので、動画撮影にかなり苦労した記憶があります。

竈門炭治郎の文字絵動画以降は、頭身高めのキャラ文字絵の一発書きにも挑戦するようになって作品の幅が広くなったので、そういった意味でも印象に残っている動画になります。

--1番気に入っている作品や思い入れのある作品を教えてください。

アズキ: YouTubeに投稿した文字絵動画のなかで思い入れがあるのは、2019年9月3日に投稿した『ひらがな8文字で描いた竈門炭治郎』です。

YouTubeで初めて100万回再生を突破した動画で、この動画をきっかけにたくさんの視聴者の方が文字絵動画を知って自分のチャンネルをみていただけるようになったのが理由ですね。

--反響が大きかった作品はどれですか?

アズキ:反響があったのは、1番思い入れのある 『ひらがな8文字で描いた竈門炭治郎』です。

こちらの動画は投稿して1週間の時点では視聴回数が100回再生いかないぐらいの動画だったのですが、しばらく経ってからじわじわ伸び始めて、視聴者のみなさまからコメント欄に「上手い!」「発想がすごい!」「真似しました!」などのたくさんのコメントをいただけて、とても嬉しかったことが印象に残っています。

この動画に反響があったおかげで自分の描く拙い文字絵でも楽しんで見てくださる方がいる、文字絵を楽しいと思ってくださる人が世間にこんなにたくさんいるんだということがわかり、本格的に文字絵動画をYouTubeに投稿をするようになりました。

--失敗した作品やリベンジしたい作品はありますか?

アズキ: 動画にはしていませんが、紙の大きさ・文字数の多さ・自分の一発書きの技術力的な点で動画にするのを断念している一枚絵の文字絵がいくつかあるので、それらの問題をクリアしていつか動画にしたいなと思っています。

--1本の動画を作る際にかかる時間はどれくらいですか?

アズキ: 描きたい対象の絵柄・画風、使いたい文字の文字数により変わりますが、少ない文字数でシンプルな絵の場合30分〜1時間、多い文字数で原作に近い絵柄・画風で描く場合4時間〜5時間ぐらいになるものもあります。

2021年8月16日に投稿した『「ねこ」で描いた猫』は1分の動画ですが、文字の配置・構図決めで15分、動画の撮影に15分、文字絵に着色するのに5分、編集に10分かかっており、45分で作りました。

2020年9月24日に公開した『【鬼滅の刃】ひらがな22文字で描いた胡蝶しのぶ』は、5時間かかりました。

このときは文字の配置・構図決めは30分でしたが、下書き・清書・着色に3時間、一発書きの練習と、動画の撮影、編集も各30分要しました。

--動画を作る際にポイントとしていることはありますか?

アズキ:できるだけたくさんの方に文字絵動画をみていただいて文字絵を知っていただけるように、そのときに話題になっている作品や流行っている作品を積極的に取り上げるようにしています。

視聴者の方々に文字が絵になっていく様子を気持ちよく見ていただけるように、動画の時間は長くなりすぎないように心がけています。

YouTubeを始めたことで自信もアップ! よかったことが盛りだくさん

『「ねこ」で描いた猫』

--チャンネル登録者数が現在7万5千人ほどになっていますが、YouTubeをやってよかったことってありますか?

アズキ:YouTubeを始めてよかったことは、イラスト投稿サイトやTwitterに文字絵を投稿していた時以上によりたくさんの方に文字絵を知っていただけて、「面白い」「楽しい」「自分も文字絵を描いてみました」「文字絵ってへのへのもへじ以外にもあるんですね」などのコメントをたくさんいただけるようになったことです。

後はやはり自分の趣味、無理なくできることを仕事にできて、毎日楽しくそれなりに生活出来ていることがありがたいです。

--以前と変わったことはありますか?

アズキ:こんな自分でもたくさんの人に楽しんでいただける文字絵・文字絵動画作品が作れるんだ、ということを経験させていただいたおかげで、以前と比べて自分自身に少しだけ自信が持てるようになりました。

文字絵を見てくださっているみなさんには本当に感謝しています。

--今後チャレンジしたいことを教えてください!

アズキ:チャレンジしてみたいことはいろいろありますが、もっと一発書きの技術を高めて大きな半紙や色紙に筆で文字絵を描いたり、いつかオリジナルのへのへのもへじ・文字絵を作って個展を開いたりしてみたいです。

よりたくさんの方に文字絵を楽しい・面白いと思っていただけるように今後もマイペースに頑張っていきたいと思っています。

今回のインタビューは、1分~3分の短い動画のなかでオリジナリティ溢れる文字絵を描くアズキさんの頭の中をちょっと覗かせていただいたような気分だった。

キャラクターのみならず動物やYouTuberのヒカキンさんなども文字絵で描き上げてしまう、その才能が唯一無二だからこそ、多くの視聴者を惹きつけるのだろう。

アズキさんは現在、年内チャンネル登録者数10万人突破を目標に活動されている。個展開催の夢が叶うよう、今後の活躍も追っていきたい。

アズキさんのYouTubeはこちら: 文字絵師アズキ

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