
『速報』チャンネルの「エヴァを制作し一時代を築いた『ガイナックス』、破産整理が終了し完全に消滅したことが話題になる…」は、新世紀エヴァンゲリオンで社会現象を巻き起こしたアニメ制作会社ガイナックスの破産処理完了を伝える内容である。
40年の歴史に幕を下ろした会社の終焉と、そこに隠された人間関係の崩壊が胸に迫る。
1984年に岡田斗司夫など関西の学生たちが立ち上げたガイナックスは、当初『王立宇宙軍オネアミスの翼』制作後に解散する予定だった。
しかし制作費が膨らみ経営を継続せざるを得なくなり、その後『ふしぎの海のナディア』やゲーム『プリンセスメーカー』でその名を広めていく。
そして1995年、庵野秀明氏が監督を務めた『新世紀エヴァンゲリオン』が大ヒットを記録し、ガイナックスは時代の頂点に立った。
だが皮肉にもこの成功が会社を蝕む始まりとなる。エヴァ関連商品で莫大な利益を得た経営陣は、事業計画もコスト管理もない事業を次々と立ち上げては失敗を繰り返した。
さらに作品に関わったスタッフへの還元は一切なく、会社は経営陣によって完全に私物化されていく。
庵野氏は後に「エヴァを利用し続けるような経営に会社がシフトされていった」と振り返っている。
代表取締役の5億円脱税事件をきっかけに経営改革を試みた庵野氏だったが、改善案は社内会議で取り上げられることすらなかった。
彼は新たな会社カラーを設立しガイナックスを去る。その後、潰れそうになったガイナックスに1億円を無利子で融資し、作品の権利買い取りを提案するなど支援を続けた。
しかし旧友たちは一度受け入れた提案を6倍の価格に吊り上げ、借金の支払いを滞らせ、挙げ句の果てには重要な資料を勝手に売却するという裏切り行為に出る。
破産処理完了後に公開された庵野氏のメッセージには「怒りを通り越して悲しくなりました。彼らとは昔のような関係にはもう戻れないであろうことを改めて思い知り、本当に残念に思います」という言葉が綴られていた。
視聴者からは「会社の終わりじゃなくて友情の終わりが見えて切なくなった」という声が上がる。エヴァという金字塔を生み出した裏側で、こんな苦しみがあったとは誰が想像しただろう。
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