
『になに』の「初めて動画が撮れなくなって休止してました。全て話します。」は、登録者数93万人を誇る人気YouTuberが、華やかな成功の裏側にある深刻なアイデンティティの混乱を赤裸々に語った衝撃的な内容である。18歳から25歳まで「になに」として生きてきた7年間で初めて動画が撮れなくなったという彼女の告白は、現代のSNS社会が抱える闇を浮き彫りにしている。
「自分が誰かわかんなくなっちゃってた」という彼女の言葉は、多くの人が抱える現代的な悩みの極致を表している。知名度が上がるにつれて「になに」への評価は高まったが、本来の「岩永みなみ」は「未熟で子どものまま置いていかれている」感覚に苛まれていたという。周囲から過剰に持ち上げられるたびに「この人たちは誰に向かって誰と話してるの?」と感じる彼女の心境は、自分らしさを見失いがちな現代女性の心に深く刺さる。
特に印象的なのは、「私の体を借りて私じゃない誰かが勝手に何かしてる」という表現。理想の自分を演じ続けることの重圧と、それによって生まれる分離感が痛いほど伝わってくる。「自分が否定されたとき」だけが本当の自分を感じられる瞬間だったという告白は、承認欲求に振り回される現代人の心の脆さを映し出している。
「ずっとなりたかったけどどう足掻いてもなれない理想の人間を演じている」状態だったという「になに」の存在。夢だった成功を手に入れた先にあったのは「虚無感と離人感」だったという現実は、多くの視聴者に深い共感を呼んでいる。「めっちゃ人生じゃん、皮肉〜」という自虐混じりの言葉に、彼女なりの人生への向き合い方が垣間見える。「結局人って変われないから」「『になに』として生きれなくなったときのほうが辛い」という諦めにも似た受容は、完璧を求めすぎて疲れた多くの女性たちの心に寄り添う。
視聴者からは「休憩しなきゃいけない時に休憩できるお前、1番かっこいいよ」という温かい声が寄せられており、彼女の勇気ある告白が多くの人に希望を与えていることがわかる。誰もが理想と現実の間で揺れ動く中、彼女の正直な言葉は現代を生きる私たちにとって貴重な道標となるだろう。
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