レジンにペーストクレイ、プラバン、羊毛フェルトといったさまざまな材料で完全オリジナル作品を生み出すYouTubeチャンネル「ネルコネコ」のネルコさん。
ネルコさんは現在、YouTubeでの活動の傍らオンラインスクール「your school」で講師を務めるほか、昨年3月には塗り絵ブック『春夏秋冬 おしゃまな猫の物語』(KADOKAWA, 2021)も出版するなど多方面で活躍。その根強い人気を証明し続けている。
今回は、YouTuberのMEGWINさんがネルコさんにインタビューし、YouTubeを始めるきっかけや独特の世界観を放つ動画制作について話をうかがった。
おままごとの道具を自作していた!? ネルコの知られざる幼少期とは
MEGWIN:ハンドメイド作品を作り始めたきっかけを教えてください。
ネルコ:物心ついたときからハンドメイドというかそういうことをしていて、遊びが何かをつくるということだったんです。
MEGWIN:おままごとの延長線上という感じですか?
ネルコ:おままごとの延長線で、おままごとの道具を自分で作ったりとかしていました。
MEGWIN:おままごとで料理するんじゃなくて、料理するための道具を作り始めちゃったんですね。
ネルコ:小さいお皿とかを自分で作って遊ぶっていう。絵を描き始めたのも1歳とかだったんです。
MEGWIN:1歳って描けないですよ!いま娘が2歳なんですけど、「何描いているの?」っていう感じですよ。
ネルコ:1歳のときは「何描いているの?」って感じだったんですけど、2歳のときは丸でお母さんとか描いていましたね。
MEGWIN:丸描けたんだ!作品っていうのを意識し始めたのは何歳くらいのときですか?
ネルコ:母が編み物をしていたので、教えてもらいながら巾着みたいな小さなポーチを作ったのが小学校1年生くらいのときです。それが作品というか、遊びではなく自分で持ち歩きたいと思って作りました。
MEGWIN:お母さんの影響があったんですね。
ネルコ:そうですね。母親はハンドメイドが好きで、編み物でお花を作ったりとか、洋裁したりしていました。
MEGWIN:ネルコさんがYouTubeを始めたきっかけって何だったんですか?
ネルコ:グラフィックデザインとイラストのお仕事をしているんですけど、それらは自分の作品として作っているものではなくて。やっていくうちに「自分の作品を作りたい」っていう欲求が高まっていって、作品を作る過程も見ていただけたらと思ったんです。
インスタとかTwitterとかSNSではないなって思って、動画としてYouTubeで残すことにしたのがきっかけです。
MEGWIN:ハンドメイド作品をつくるときに、何かインスピレーションを受けているものってありますか?
ネルコ:興味があるものをいろいろ調べていくうちに、それが頭の中に蓄積されていくんですね。それがあるときに、ピタっとかけ合わさる時があるんですよ。風化した錆びと猫とかがどこかで繋がったりしたときに、ひらめいたりしますね。
MEGWIN:ひらめいたらすぐスケッチとかするんですか?
ネルコ:スケッチに残さずに、頭の中でトレースするんです。作っている状況とかをトレースして、その中でだんだんと形が出来上がっていくというか。スケッチは最終的にできたものをスケッチしています。
MEGWIN:本番に行く前にスケッチするってことですか?
ネルコ:そうですね。動画撮るときはカメラの前に座ってスケッチを始めるところからはじまることが多いんですけど、本当にそこからが始まりで、動画を撮りながら作りだしている感じです。
動画は一発撮り! 印象的な動画制作のカギは「ミスマッチ」にあり
MEGWIN: これまでいろんなものを作ってきたと思うんですけど、1番印象に残っている作品ってどれですか?
ネルコ:塗り絵制作ですね。イラストのお仕事もやっていたんですけど、丸まる1冊を描きあげるっていうのはやったことがなくて。それが大変だったのと、楽しかったのでインパクトが凄かったですね。
MEGWIN:1冊つくるのにどのくらいかかったんですか?
ネルコ:「3カ月後に発売」というふうにお仕事を頂いたので、それにあわせて毎日1枚仕上げないといけなくて。80ページあるので、それは大変でしたね。ほかのことはせずに、ずーっと絵を描いていました。
MEGWIN:すごい無茶ぶりだな。第2弾やりたいですか?
ネルコ:やるとしたら、「半年ください」って言いたいですね(笑)。
MEGWIN:塗り絵のお仕事がきたきっかけって何だったんでしょう?
ネルコ:「RUB-LAB.」っていうTシャツを販売されているところがありまして、そこで描いたイラストをTwitterに投稿していたんですね。それを角川さんの担当の方が見て、「描いてくれませんか?」とお話をいただいたのがきっかけです。
MEGWIN:動画のBGMとか8ミリ映画みたいな世界観が印象的なんですが、何かイメージされているものってあるんですか?BGMの選び方とか。
ネルコ:映像とBGMは切り離して考えていて。私の動画はレクチャー動画ではないので、私が作るアンティークっぽい作品を演出するために、曇り空でちょっとけだるい感じの雰囲気を映像の色で出しながら作っているものが多いです。
BGMは映像にマッチしたものももちろん使うんですけども、ミスマッチっていうのもすごい大切にしていまして、じっくりと作業をしているところにちょっとコミカルなものを流したりとか、印象に残るような動画づくりをしています。視聴者さんはちょっとそれに対して小っちゃなストレスを感じるかと思うんですけども、それも印象を作っていることに関しては成功しているかなと思います。
MEGWIN:僕は自分のカラーに合わせて選んでいるので、全体通してサーフロックが多いんですけど。ギャップを突くっていうYouTuberはなかなかいない。みんな世間に寄ろうよろうとしているんですけど、全然違うから面白いですね。カメラと編集ソフトは何使っていますか?
ネルコ:カメラは、PanasonicのGH5です。
MEGWIN:うわぁー、凝っていますねー。1眼使っているんですね。1眼のレンズって何使っているんですか?
ネルコ:レンズは撮るものによって変えていて、LEICAのDG MACRO-ELMARIT 45mmやLEICA DG SUMMILUX 15mm、LUMIX G VARIO 12-60mmを使っています。編集と撮影はマネージャーさんが手伝ってくれていまして、その方が機材に詳しいので任せているんですよ。
編集ソフトはAdobeのプレミアプロを使っています。動画を始めてから編集もやり始めたので、ほかのソフトとの違いがわからないんですけど(笑)。
MEGWIN:マネージャーさんが機材に詳しいっていうのは心強いですね。動画1本あたりの制作時間ってどれくらいなんですか?
ネルコ:1本つくるのに1週間から10日間くらいかかりますね。制作をしているところを撮って、編集をマネージャーさんの方で同時進行でしている感じですね。
MEGWIN:やっぱり時間かかりますよね。ほかの仕事と並行しながら動画を作る時間ってあるんですか?
ネルコ:いまはほとんど制作の方に力を入れていて、塗り絵とか大きな仕事があるときは、動画はストップしてしまいます。大きい仕事があるときは「早く動画撮りたい」って思いながらも、やっぱり時間がとれなくなってしまって。
MEGWIN:そうなりますよね。「ここを見てほしい」っていう動画の注目ポイントってありますか?
ネルコ:これはいままで言ったことがなかったのですが、作品のほとんどは一発撮りなんです。このインタビュー記事を読んだ方々がこのことを知ったうえで動画をもう一度見てくださったら、また違う感覚で楽しんで見てもらえるかなって。
マネージャーさんも私が何を作るかをわかっていない状態で撮影しているので、私が変なことをし始めるのをカメラで一生懸命撮ってくれていて、編集も「最終的にこういうのになると思う」ってイメージを伝えてやっている感じなんです。最初に厳密に企画を立てているわけではなく、その時々で変わるっていう空気が動画にはいっているので、そういうところをおさえて見てもらえたら嬉しいかなって思います。
MEGWIN:すごい。見どころ満載ですね。マネージャーさんもすごいですね!
ネルコ:そうですね。プロデュースも一緒に考えてくれるし、本当に心強いですね。
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